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月刊エレクトーン2022年10月号 第2特集 WEB限定番外編
大好評スコアをアレンジャー本人がアナリーゼ!
かえるのうた -Orchestra ver.-アレンジ手法解説
松内愛さんが教えてくれました!オリジナルアレンジをする際に必要なモノ
- ①原曲のメロディー譜
- 曲を覚えているから大丈夫と思わずに、用意した方が良いです。アレンジで行き詰まった時にメロディー譜を見て、まだ使い切れていない要素を探しましょう。昔、出された素材1品を使って料理を何品か作るテレビ番組がありました(フルコースの料理全てに、ジャガイモを使うようなイメージです)。その番組のように、1つの素材(原曲)を存分に生かし、かつ飽きないように流れよく最後まで作る、それが私のオリジナルアレンジをする時の目標です。
- ②五線紙
- 思いついたことを、どんなことでも下書きしていく。人には読めなくても自分に読めればヨシ。(清書は改めてする)
- ③筆が進む(気がする)筆記用具
- ②と③はパソコンでもモチロン良いのですが、私は衝動のままに書きたい時は手書きです。
- ④録音用機器(MDRやボイスメモ)
- 出てきたアイディアを書き留めるか録音する。MDRにフォルダを用意して、とにかく思いついたら書くor録音。途中で変になっても消さずにとにかく録音。「かえる~」の時のフォルダに残る録音は45個!出てきたアイディアが全部使える訳でなく、曲調に合わずにボツになることも多々。というよりほとんどはボツ。気に入ったアイディアに固執し過ぎると、全体がちぐはぐになることもあるので、そんな時は次回作で使おうと前向きに考え、取捨選択しましょう。
- ⑤今まで弾いた曲・聴いた曲からアイディアをもらう‘ちゃっかりさ’
- 何事も真似ることから始まります。弾いた・聴いた曲でイイな♪と思ったことを上手に取り入れましょう。もちろん、盗作は良くないので、曲に合うように変えたり、オリジナリティを入れましょう。曲を弾いて・聴いて、ステキと思う部分を体に染みこませるように、弾く・歌う・書く。それが無意識にポロっと出てくるのが理想と思います。
- ⑥やる気
- アレンジも作曲も、浮かばない・進まない時期があります。ず~~っと悩んで先が見えないと思っても、完成すれば、そうなるのが必然だったように曲が出来ています。「かえる~」も途中とても悩み、停滞しました。それでも完成すると、こうしかないでしょ!と思える落としどころにたどり着き、産みの苦しみもさっぱり忘れます。そんな日が来るのを願って心折れずに頑張りましょう。
- ⑦とにかく進めること
- どこかで悩んだ時、ベストではない内容でもとりあえず進む人と、悩んで考えてずっと止まる人がいます。私はとりあえず進める派です。大作曲家でも、何年か経ってから書き直す人もいます(原点版・○○年版がある曲があります)。大作曲家でもそうなので、後からもっと良いアイディアを思いつけば差し替えればいいや~と思っています。ただし、「とりあえず」の事に慣れすぎると新しいことが浮かばないので、そういう箇所はあまり弾かないです。また気になる箇所を常にアタマの片隅に置いていると、リラックスしている時に浮かぶことも。
松内 愛(まつうち・あい)
4歳よりエレクトーンとピアノを始める。1995年ジュニアエレクトーンコンクール全日本大会高校生部門で金賞受賞。大阪大学人間科学部在学中の1997年、エレクトーンコンクールクラシック部門で第1位を受賞し、演奏活動を開始。卓越したテクニックと集中力から生み出されるクラシック曲と、一度聞くと口ずさめる印象的なメロディーのオリジナル曲の演奏を両軸とする。最近では作・編曲家としても活動。エレクトーン曲集や月刊エレクトーンで多数アレンジを提供する。大阪音楽大学・同短期大学部非常勤講師。
