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プロローグ
「ダメだ……全然わかんない……」
1週間前に意気揚々とリサイクルショップで買ってきた1万円のキーボードと、その隣に積み上げられたたくさんの作曲の本。私は、心の奥からこみ上げる ”やってしまった感“を覚えながら、必死に「いや、そんなことはない!」と思い込もうとしていた。
見た目は普通、頭脳も普通、それが私、山波いろは。16歳の高校2年生。私は今、人生に物足りなさを感じている。何となく受験して何となく高校に入って、何となく、何となくで今まで生きてきたけど……このままじゃ——何かが足りてない。そう、なんかこう、漫画とかドラマとかで起こるような、そういう青春っていうか、感動っていうか……人生の中でひとつ大きな軸になるみたいな……そういう夢中になれるものが足りてない。
クラスの友達とかは、オシャレに本気を出していかにもなギャルになってみたりして女子高生を謳歌(おうか)してる子もいるけど、私はそういう派手なのはちょっと苦手だし、別に髪を染めるわけでもなく、制服を着崩すわけでもなく、生徒指導オールクリアなごく平凡なミディアムストレートの髪型をしつつ鞄には流行りのキーホルダーをつけたりしている、我ながらなんとも模範的な普通女子高生をやっている。成績が良いわけでもないし、スポーツに打ち込んでるわけでもない。部活は帰宅部。『平凡』を辞書で調べたら私の写真が載ってるんじゃないかってくらいとにかく普通のアベレージのど真ん中が私だった。
でも、私だって何かしたい。自分だけの特別な何か。そんなことを普段から思ってる私は、何を思ったのか作曲をやろうとしている。……いるんだけど。
「……作曲なめてた。これ無理なやつだ……」
改めて、部屋の真ん中にあるものを見つめて私は途方に暮れる。座卓に乗っているのは1万円のキーボード(中古)と、1冊それぞれ2000円以上する作曲の本が5冊。しめて約2万3000円也。カッコつけて買ってみたいかにも難しそうな本格的っぽい理論の本は何に使うのか全然わからない図とか式とかが満載で完全にチンプンカンプンだし、『サルでもわかる作曲の本』みたいな初心者向けっぽい本は、つまり私の頭はサル以下っていうことを証明するだけの本になってしまった。
……なけなしのお小遣いを使って本と鍵盤を揃えたのに、結局何から始めればいいのかすらわからない……。ああ……っていうか何で音楽の本ってこんなに高いの? もう合計で2万3000円も使っちゃったんだよ? 2万3000円だよ!? どうするのこれ……。やるからには覚悟を決めて! とか思って冒険してみたけど、ちょっと見切り発車だった。どうしよう……。2万3000円……。はぁ……なんだか悲しくなってきた……。
「……いや! まだ! まだ諦めない! っていうかもうあとには引けない!」
うん、こうなったらトコトンだ。私の大切なお小遣いを無駄になんてさせない!
「……そうだ。もしかしたら、あの子なら……!」
私の頭にふと、あるクラスメイトのことがよぎる。あの子ならもしかして、このピンチを救ってくれるかもしれない。
超高校級天才作曲家の、あの子なら!
商品概要
作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~
「何かやってみたい!」
そんな気軽な動機から作曲をしてみることにした女子高生、"いろは"。
しかし音楽知識はゼロ。何から始めていいのかわからずいきなり挫折しかけた彼女は、クラスメイトの——そして現役の女子高生作曲家でもある"珠美"に作曲を習うことになる。
「14日間で作曲はマスターできる」という珠美のもと、いろはは人生初の挑戦を始めるのだが……。
本書は、物語を読むうちに音楽の仕組みが理解できて曲作りの方法まで身につくライトノベル作曲理論です。
曲を作るために、音楽的な知識は一切不要。必要なのは、正しい発想とちょっとしたコツ、そして何より第一歩を踏み出すこと。この本には、そのための考え方やヒントがたくさんつまっています。
さらに、現在作曲に挑戦している人にとっては、普段感じている曲作りの疑問が確信に変わるはずです。
[目次]
1日目 珠ちゃんと私
2日目 それでも気になる理論の話
3日目 音楽と映画は結構似てるっていう話
4日目 耳コピの話
5日目 越えられない壁の話
6日目 続く人と、続かない人の話・前編
続く人と、続かない人の話・後編
7日目 最初の壁を越える話
8日目 耳コピ最大の難関の話
9日目 キーの話
10日目 メロディラインと構成の話
11日目 “珠ちゃんビックリ大作戦"の話
12日目 テクスチャーの話
13日目 作曲合宿の話・前編
14日目 作曲合宿の話・後編
キャラクター紹介
多摩川南高校2年生、何かに熱くなることもない普通の女子高生。帰宅部。平凡な毎日を抜け出したいと考え、いろいろと手を出すがどれも長続きしていない。たまたまテレビの音楽番組を観たことで、楽器経験もないのになぜか作曲をやってみようと思い立つ。まずは楽器を買わなきゃと考え、近所のリサイクルショップで1万円のキーボードを発見し、深く考えずに買ってしまう。父親は営業マンで、母親は専業主婦。3つ下の弟はしっかり者。最近、母親が3回めの挑戦にしてようやく自動車免許試験に合格し、家族みんなでロブスターを食べに行った。今度は車でジャスコに行こうと言って母親は張り切っている。
山波いろは
(やまなみ・いろは)
いろはと同じく多摩川南高校の2年生。小さいころから音楽は好きで、小学生の時には携帯電話の着メロを自分で打ち込んで作っていた。中学校の時には運動部に入っていたが、あることをきっかけに帰宅部となる。中学2年の頃に作曲に開眼し、取り憑かれたように作曲に没頭する。できそこないのものも含めて中学の頃に書いた曲は50曲。高校になる頃にはもっと精度の高い楽曲作りを目指すようになり、ある作曲家からプロの現場のノウハウを学ぶ。それと同時に楽曲コンペにも参加し、高校1年生の時にプロデビューを果たす。今では現役高校生ながら作曲家として、シンガーやアニメに曲を提供するなど活躍している。父親は水道局員で、母親はパートをしながら絵画教室の先生もしている。また、年の離れた姉は、実は人気漫画家。人には言わないが、珠美は姉に対するコンプレックスと戦っている。
黒白珠美
(くろしろ・たまみ)
Special Contents
『作曲少女2』発刊記念、無料連載中!
★ 特別掲載!★
『作曲少女 番外編~何も続かない私が作曲をしようと思ったきっかけの話~』(2018年 COMITIA126 頒布)
★ 特別掲載!★
『作曲少女 番外編~はじめての作曲コンペの話~』(2019年 COMITIA127 頒布)
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作曲少女Qとは
〈いろはと珠美にまた会える!〉『作曲少女』の外伝がデジランドで独占連載!!
珠美による14日間の作曲レッスンを経て、なんとか曲を作ってみたいろは。
しかし、自由に曲を作れるような「作曲家」への道はまだまだ遠い。
さまざまな壁や疑問にぶつかりながら、
少しずつ成長していく——のか?