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「吹奏楽ポップスの父」岩井直溥先生を偲んで

“吹奏楽ポップスの父”と親しまれた、作・編曲家の 岩井直溥 先生が、
2014年5月に亡くなられました。
謹んで哀悼の意を表し、岩井先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。
1972年から続く「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」に、数々の
吹奏楽の名アレンジを残してくださいました。
珠玉の “岩井作品”を、ご紹介いたします。

【岩井直溥 プロフィール】
1923年10月2日生まれ。2014年5月10日没。1947年、東京芸術大学器楽科(ホルン専攻)卒業。
芸大在学中よりアニー・パイル・オーケストラに所属し、トランペット奏者として活躍、
その後、フランキー堺が新しく編成したシティー・スリッカーズにプレイヤー兼アレンジャー
として加わり、本格的なアレンジャーの道に進む。
'59年より東芝レコード(現ユニバーサル ミュージック)専属アレンジャーとなり、全国各地の
バンド・クリニック、及び定期演奏会の指揮などで活躍。
ポピュラーを中心とした作編曲は3,000曲を越している。
なお、'72、'75、'76、'78、'89、'13年度の吹奏楽コンクール課題曲は氏の作品である。

■岩井直溥アレンジ作品のご紹介

岩井直溥作品カタログ(全158タイトル)
タイトル 難易度 演奏時間 出版年度 楽譜サンプル
アフリカン・シンフォニー ★★ 4:15 1977
イン・ザ・ムード ★★ 3:30 1994
A列車で行こう ★★★ 4:40 1979
エル・クンバンチェロ ★★★ 4:10 1995
踊り明かそう ★★ 5:15 1978
コパカバーナ ★★★ 5:50 1987
シング・シング・シング ★★ 5:25 1981
ディズニー・メドレー ★★★ 9:05 1981
デサフィナード ★★ 6:35 1988
76本のトロンボーン ★★ 3:00 1984
ブラジル ★★ 6:15 1981
マンボNo.5 ★★★ 4:20 1990

■“岩井直溥作品”によせて

 私は、惜しくも5月に他界された岩井先生と30数年に渡り、NSBシリーズで一緒に仕事をさせていただいた。 岩井先生と私は、楽しくノリのよいポップスを、吹奏楽の特質を活かした高いクォリティで提供するという、 共通するコンセプトで大いに意気投合した。 それに加えて、岩井先生には「難しくなく効果的なアレンジ」というモットーがあり、 吹奏楽の楽器や編成を知り尽くした先生のアレンジはとても演奏しやすい。 そして、それが40数年に渡って愛され続けてきた理由だと思う。
 吹奏楽を愛する皆さんには、ぜひNSBシリーズに残された岩井先生のアレンジ作品を、もう一度取り上げてほしい。 文句なしに美しく楽しい、上質なポップス本来のステージが展開される筈だ。

真島俊夫


真島俊夫 (作・編曲家)

音楽を兼田敏氏(故)に師事。
代表作品に「三つのジャポニスム」や、2006年にフランスで開催されたクー・ド・ヴァン国際交響吹奏楽作曲コンクールに於いてグランプリを受賞した「鳳凰が舞う」、マリンバとバンドの為の協奏曲「大樹の歌」、「地球-美しき惑星」、2014年下谷奨励賞受賞作品「レント・ラメントーソ」等がある。 また、ジャズやポップスの作品も多数あり、30数年以上にわたり「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」にスコアを提供、 代表作として「宝島」「オーメン

ズ・オブ・ラブ」「カーペンターズ・フォーエバー」「チュニジアの夜」等がある。
CD「真島俊夫作品集」が'08年8月、キングレコードより発売。
映画等の音楽としては'99 NHKTV水曜ドラマシリーズ「噂の伝次郎」、 '08年ドキュメンタリー映画「蘇る玉虫厨子」(文部省『特選』受賞)の音楽を作曲。

『なぜよく鳴るのか……岩井アレンジの秘訣』
 私の高校時代の吹奏楽部は30人程度の歯抜けバンドで、楽譜を買う予算もままならず、仕方なく必要に応じて私がアレンジも行っていたのですが、 岩井先生のスコアは、なぜうちのような歯抜けバンドでもちゃんとバランス良く鳴るんだろうという疑問が、岩井アレンジを研究するきっかけとなりました。
 岩井アレンジの特長は、1st、2ndパートしかいないような小さな編成でも和声的に成立するようにオーケストレーションしてあることです。 これは、かつてニュー・サウンズがビッグバンド準拠の5サックス、4トランペット、4トロンボーンという大編成で書かれていた当時から一貫して使われている手法で、 現在の岩井先生のスコアでも、ホルンパートのハーモニーの配置を研究してみると理解できるはずです。
 この方法は、私のアレンジにも大いに活かされています。

星出尚志


星出尚志 (作・編曲家)

1962年山口県生まれ。
中学、高校時代、吹奏楽部でトロンボーンを吹くかたわら、バンドの指揮や編曲もしていたが、高校、大学在学中に吹奏楽連盟の課題曲に応募、2度とも見事に落選。「吹奏楽に才能なし」と自己の非力に鑑み、大学在学中は専らシンセサイザーに没頭し、現在も自宅のスタジオは機材やコンピュータで埋めつくされている。大学卒業後、出版社にて吹奏楽曲の編集に携わったことがきっかけで、再びこの世界へ足を踏み入れることになった。
吹奏楽作品としては、『薄暮の都市─8人の奏者のために─』、『北川木挽歌による幻想曲』、『ブラボー・ブラス!』、『丘の上のレイラ』、『ラ・グラン・マルシュ』等のオリジナルの他、ニュー・サウンズ・イン・ブラス等多くのアレンジがある。一方では、ミュージカル等の舞台音楽も多く手掛けている。
ホームページ http://www.bekkoame.ne.jp/ro/hossy/

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