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トップページ > 特集ポータル > 作曲少女/作詞少女特設サイト > 作曲少女Q~曲作りに悩み始めた私がやらかした12の話~
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★更新情報:2020年8月21日 サイトをオープンしました!
◆ あらすじ
あらゆる点で平均普通な女子高生・山波いろはは、いろんなことをやっては挫折してを繰り返していた。そんなある日また思い立って始めたのは作曲。音楽経験ゼロのいろはは、カッコつけて道具や本だけは揃えたもののまったくやり方がわからずまた挫折しそうになる。
しかしクラスメイトの天才作曲女子高生・黒白珠美の力を借り、感心したり閃いたり納得したり怒ったりヘコんだり謝ったり頑張ったりドキドキしたりして、14 日間のレッスンを越え本当に自分のオリジナル曲を1曲仕上げ切ったのだった! おめでとう!
……しかし、いろはがぶつかる壁がなくなったわけではなかった! 曲を作る途中でつまづく石、ハマる無数の落とし穴! 一体何でこんなことになってしまうのか……? 数多の作曲経験者がかかった有名なワナの数々を、いろはは越えることができるのか!?
◆ プロローグ
――高校3年。夏。ひまわりとスイカの季節。時刻は夜8時。珠ちゃんの家から少し歩いたところにある、多摩川の河川敷。自転車を押す私と、歩く珠ちゃん。
そういえば今年の春に途中で消化不良になってしまった遠足を、今からでもやり直そう!ということで、私と珠ちゃんは今『作曲部御一行、ワクワク遠足大作戦』についてを歩きながら相談している。せっかくだしただの旅行じゃなくて、なんか作曲的におもしろい場所とか行きたいよねーとか、そんなことを考えたりして。作曲部のみんなにはまだ内緒の、ふたりで考えてるサプライズ企画。
「珠ちゃんの仕事場を社会見学、とかダメかな?」
「あー、たとえばスタジオミュージシャンのレコーディング現場とか?」
「そうそう、そういうの!」
「でもそれ、あたしが遠足になんないしなぁ」
「あー。そっか、じゃあダメだね」
日が落ちて暑さがマシになった夜の8時とはいえ、夏は夏。やっぱり暑い。制服の半袖シャツの中をウチワであおいだりしていた珠ちゃんは、暑〜マジ暑い〜とかさっきまで言ってたのに、夜になって少し暑さがマシになるやいなや、またいつものぬいぐるみ帽子をかぶっていた。
「……そういえば珠ちゃん、当たり前すぎて逆に聞いたことなかったけど、なんでいつもぬいぐるみ帽子かぶってるの? 夏にその格好は、だいぶしんどい気がするんだけど?」
「え? あれ? 言ってなかったっけ? この帽子の話」
「聞いてない聞いてない。え、何かあるのその帽子? ファッション的なこだわりじゃなくて?」
「……この帽子っていうか、楽しい帽子をかぶっておきたいんだ。いつでも。ちょっと、思い出があって」
珠ちゃんは、なんとなく嬉しそうに、ちょっと恥ずかしそうに言う。あんまり見たことのない、乙女チックな雰囲気の顔だった。
「え〜なになに? それってもしかして、恋バナ的なやつだったりとかして??」
「えっ。そんなわけないだろ! 友達のいなかったあたしになんで恋バナがあるんだ」
「……コメントに困ることを言うね、珠ちゃん」
珠ちゃんは大きな声で笑ったあと、ちょっと遠くを見るような目で多摩川を眺める。
「……何でも話したような気がしてたんだけど、案外まだ、話してないことあるんだな」
「そりゃそうだよ。だって、よく考えたら私達、まだ友達になって1年も経ってないんだよ?」
「マジか。あー、そうか。そうだよなぁ。なんか、少なく見積もっても3年は一緒にいる気がするよ」
「あはは、わかる。変だよね。時間の進み方おかしいっていうか」
「いろはとふたりきりで話すのも、ちょっと久しぶりに感じるな」
「そうだねぇ。いつのまにか、ずいぶん賑やかになったもんね」
作曲部のみんながいるのが当たり前になった、私の生活。そういえば、珠ちゃんと私のふたりだけだった頃にも、いろんなことを話した気がする。どんなこと話したっけ。……そうだ、本物の音楽って何? とかすごい漠然としたこと聞いたこともあったっけ。ああそうそう、インプットの話はギクッとしたけど大事な話だったなぁ。機材の買い方とかも教えてくれたっけ。曲作りに詰まった時のヒントとかも、いろいろ教えてもらった気がする。ほかにも――。
――今となっては懐かしい、私と珠ちゃんのふたりだけだった2年生の3学期。その時に話したいろんなことを、私はふと思い出してみる。
◆ 商品概要
音楽知識ゼロから曲を作り始めた女子高生"いろは"。日々作曲に取り組むものの、まだまだうまく行かないことばかり。現役女子高生作曲家"珠美"に作曲上達の秘訣を聞くが……。
物語を読むだけで曲作りのノウハウや考え方が身につく短編小説集。『Digiland』での好評連載小説がついに書籍化!
さらに、未公開作品を含む番外編も4編収録。
[目次]
第1話 ホンモノの音楽の探し方の話
第2話 インプットという病の話
第3話 高級音源という厚化粧の話
第4話 無駄にならない機材の買い方の話
第5話 作曲のプロになる流れの話
第6話 1週間以上同じ曲をいじってしまってる時の話
第7話 モチベーションがまったく上がらない時の話
第8話 "語り継がれる名曲"とは何なのかという話
第9話 ピアノが弾けない作曲家の話
第10話 "うまい歌"と、歌う声優さんの話
第11話 作った曲の変なトコを見つける方法の話
第12話 私の曲の存在価値、の話
番外編 著作隣接権についての話
番外編 はじめての作曲コンペの話
番外編 何も続かない私が作曲をしようと思ったきっかけの話
番外編 珠美が作曲を始めた日の話 または、青鬼音々との一件
◆ キャラクター紹介
山波いろは(やまなみ・いろは) いろいろ越えて『1曲作る』を達成した音楽経験ゼロの作曲初心者。よっぽど嬉しいのか、ちょっとだけ調子に乗り始めている。
黒白珠美(くろしろ・たまみ) 現役女子高生でありながらアニメやドラマ、ゲームといった商業作曲の仕事をこなすスーパーガール。人付き合いが苦手で友達が少ない。
◆ Special Contents