このDVDを見て、なぜレニー・クラヴィッツに自分がひかれたのか
あらためてよくわかりました。

クリス松村

クリス松村の「ジャスト・レット・ゴー」DVDレビュー

テレビやラジオ番組などで活躍中のクリス松村さん。
ご自身の音楽番組は自ら構成を行い、ライナーノーツも手掛けたりと洋楽・邦楽問わず、幅広い知識を持つ音楽マニアとしても知られています。

そんな音楽を愛して止まないクリス松村さんに、レニー・クラヴィッツとの出逢いや彼の魅力、そして長年リスナーとして音楽と真摯に向かい合ってきたクリス松村さんだからこそ感じた「ジャスト・レット・ゴー」の見どころなどを語って頂きました。

レコードが消えゆこうとしている時でも、渋谷では最新の新譜のアナログを扱うお店があって、定期的に通っていましたが楽しみのひとつは店内に流れている音楽。

本当にノレると、私は人前でも平気で体を動かしてしまいます。レニー・クラヴィッツとの出逢いも体を動かすことから始まりました。

凄くイイ!何?この曲。

ジャケットが・・・飾ってない・・・ので、仕方なく店員さんに聞きました。

「これ、何ていう曲ですか?」

それは「コールド・ターキー」でした。

その後に流れていたのが「エンプティ・ハンズ」。

即、買いました。

しかしながら、ジャケットは一番好みじゃないパターン。(笑)


自宅に帰ってレコード盤を見てみるとA面が「レット・ラヴ・ルール」という曲だということに初めて気がつきました。

恐る恐る、針を落とすと、想像していない世界が!

しかも、私が大好きなホーン・セクションが。

しかも曲が面白い!

こんな感じの出逢いが最初ですが、ジャケットが好みではなかったので(笑)

その時は、追うことはしませんでした。


再び彼の名前を目にしたのは、マドンナのベスト盤。

マドンナの新曲目的で買ったベスト盤。「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」が良かった!

ところが、日本語解説には新曲についての解説は一切なし。

誰が書いたの?英語表記を追うと…マドンナと・・・えッ!? レニー・クラヴィッツ??

実は、その後なんです・・・彼のアルバムを買ったのは。

あふれる形や色の違う音楽、ノンストップな音、音、音。ぶ厚い音。

一番、彼に魅力を感じているのは、ヴァリエーション豊かな音楽と音かもしれません。


しかし、その後、彼がどんどんセクシーになっていって・・・私にとって完璧になっていきました。

鍛えあげられた肉体にフィットする衣装。

いや・・・肉体が衣装かもしれない。


よく、音楽の好みを聞かれますが、ローリング・ストーンズもビートルズも松田聖子も中森明菜も松任谷由実も中島みゆきも、美空ひばりもちあきなおみも、イル・ディーヴォからマイケル・ブーブレ、ミュージカルまで何でも聴くんです。

そんな私を彼は飽きさせません!

このDVDを見て、なぜ、レニー・クラヴィッツに自分がひかれたのか、あらためてよくわかりました。

彼の音楽感に壁はないんです。

音楽を提供する側としては、実力がなければ出来ない大変なこと。

彼の一番の友達は、きっと音楽なのでしょう。

そして、音楽が友達だと思う仲間が集まって、完璧な演奏をする。

だから、最高の音楽が生まれる…ということが、よく理解出来る貴重なDVD。

音楽をわかりあえている仲間だけれど、物凄い緊張感がお互いにあって、プロとしてのミュージシャンの世界の厳しさと姿勢がよくわかります。

演奏するとは、どういうことなのかが本人も含めたサポートするミュージシャンの証言で明らかに。


実に面白い!

息苦しくなるほど真剣な姿勢。

レニー・クラヴィッツの音楽の土台を徹底的に見ました。


彼の全身で音楽を表現するステージを見ていると、あのレコード屋さんで自然に体が動いた私は・・・

あれが正解だったのだとあらためて思いました。

レニー・クラヴィッツ音楽頭脳、素晴らしい!

クリス松村
オランダ・ハーグ生まれ。邦楽、洋楽問わずの音楽好きが高じて、番組出演にとどまらず、
テレビやラジオの番組監修、CDの音楽解説、航空会社の機内放送オーディオプログラムの構成、ナレーションなども手掛ける。
アナログ盤、CD、DVDなど約2万枚所有、現在も収集中。著書に『「誰にも書けない」アイドル論』(小学館新書)がある。