賢い子が育つ 耳の体操 【脳と感覚を鍛えるCDつき】

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『耳の体操』を保育園で体験していただきました!

 昨年出版した『賢い子が育つ 耳の体操』は、耳の感覚野認知機能を育てたりするのに役立つ本です。発売から、多くの親御さんや先生から「子どもたちとこんな取り組みをしたよ!」というご感想もいただいています。
 では、実際に本をどのように活用するといいのでしょうか? そのひとつの例として、今回は本の著者・小松正史さんが、京都市左京区の岩倉こひつじ保育園様でワークショップを行い、その様子をレポートしていただきました。

●ご協力いただいた保育園:岩倉こひつじ保育園
川﨑真先生(岩倉こひつじ保育園園長)

身振り手振りをまじえ語りかける筆者

 岩倉こひつじ保育園は、京都市左京区・岩倉地区の静かで恵まれた環境の中にあります。
保育園の2号館を設計するにあたり「五感で感じる事のできる建物が作れないか」というテーマから始まり、裏山のウグイスやセミの声が風に乗って保育室に入ってくるように最大限の工夫をされました。まさに『耳の体操』につながる部分です。保育目標の中にも、「状況判断能力を身に付ける」という項目があり、園児の主体的な意志を自力で獲得するための教育理念が感じられる園です。
この園と、筆者である小松正史が所属する京都精華大学が密に連携して、2017年度後半から、定期的に「耳の体操」ワークショップを開催しています。

 今回は、ワークショップ初回の内容を中心に紹介します。「音が消える瞬間」「紙やぶり」「1分間音を出し続ける」「新聞を使った紙やぶり」を行いました。筆者がファシリテーター(ワークショップのコーディネーター)となり、会を進行させました。参加したのは3~5歳の園児56名。

 「音が消える瞬間」のあそびは、民族楽器(金属打楽器)の「ティンシャ」を使って、音が消えたと感じたら手を上げてもらいます。最初はすぐに手を上げる園児が多かったのですが、2度目になると、音が消えゆく様子をじっと聞き入り、手を上げる時間が長くなっていました。
 「紙やぶり」のあそびは、紙を長い時間かけてやぶる方法と、大きな音を立ててやぶる方法の2つがあります。10分近くかけてゆっくりやぶる園児や、いきおいよく一気にやぶる園児がいて、紙がやぶれる音1つをとっても、さまざまな音の種類があることを実感していました。最後に、身近な新聞紙を「一気」にやぶる音を感じてもらいました。紙の音って、こんなに大きいんだ! といった感想が多々ありました。

 

 普段、音といえば〝音楽〟を思い浮かべがちですが、周りを見渡す(聞き渡す)と、音楽以外の〝物音〟や〝生活音〟の方が多いことが分かります。それは頭で分かっていても、実感として湧きづらいもの。「耳の体操」あそびでは、そうした音楽以外の物音に対して、自然に興味を持って意識を向けさせるワークを満載しています。しかも、高価な道具は一切要りません。紙などの身近な生活用具や、道具を一切使わない方法が多々あるのも魅力の1つとなっています。

 耳の体操は1つずつ行うのもよいものですが、大勢の園児が一度に集える一定の時間があれば、複数のワークを連続して行うのが効果的です。今回は30分間の枠でありながら、多様なワークを効果的につなげることで、音への意識が相乗的に高まる印象を受けました。

 園児たちの感想を聞くと、「まわりの音が大きく感じられるようになった」という意見が多くありました。サポートをいただいた保育士の先生方は、「初回なので大きな変化は感じられませんでしたが、子どもたちが楽しく参加している様子が見られました」との意見があり、音あそびを継続することへの期待が感じられる、楽しい時間となりました。

 『耳の体操』あそびは、一度で終わらせるものではありません。何度も繰り返して定期的に行うといった〝習慣〟が大切です。続けるコツは、楽しく、音とあそびながら! そんなメニューがたくさん詰まった『耳の体操』は、幼児教育の箸休めのような、日常生活の風通しをよくさせるような効果があるのではないでしょうか。

「紙やぶり」の遊び
(撮影:川﨑真先生)
岩倉こひつじ保育園の風景
(撮影:川﨑真先生)

岩倉こひつじ保育園のみなさま、
ご協力ありがとうございました!
社会福祉法人 恵会 岩倉こひつじ保育園
〒606-0022 京都市左京区岩倉三宅町58-2

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『耳の体操』を保育園で体験していただきました!

 『賢い子が育つ 耳の体操』は、子どもの年齢に合わせてさまざまな使い方ができる本です。今回は、この本の活用法やどうやって役立てるかについての例をご紹介します。
 東京都品川区の大井町のぞみ保育園にご協力いただき、実際に『耳の体操』を体験していただきました。

抽象性や独自性を育むテキストとしても

●ご協力いただいた保育園:大井町のぞみ保育園
栗原健太先生(大井町のぞみ保育園園長)

 大井町のぞみ保育園では、普段から園児に対して「わらべうたあそび」を実践しています。これは、みんなでわらべうたを歌いながら、歌にちなんだ音を立てたり身振り手振りをしたりすることで、人と人との触れ合いや達成感、情緒の安定などを目指したものです。

 今回、「わらべうたあそび」に加えて、『耳の体操』のなかから、「手や指を使って音を出そう」「音に名前をつけてみよう」「今日、起きてから聞いた音」「音を絵にしてみよう」という4つのあそびを取り入れてみました。

 「手や指を使って音を出そう」のあそびは、わらべうたに合わせていろいろな音を出してもらいました。手を叩くなどの例を出したところ、園児たちはジャンプして床を鳴らしたり口でおもしろい音を出してみたりと、さらに工夫を加えてくれました。
 「音に名前をつけてみよう」は、目を閉じて身の回りの音に耳をすませ、音に名前をつけるあそびです。回数を重ねるたびに園児が周囲の音に注意をはらいイメージを働かせるようになっていくのを感じます。
 窓を開けて周りの音を聴いて、みんなの前で発表してもらったところ、2回目以降は聴くことができた音が増え、「窓から吹き込む風の音」「教室にあった紙がめくれる音」「ほかの教室のお友達の声」など、次々と出てきました。

「わらべうたあそび」の様子  また、最初に周囲の音に耳をすませる体験をすることで音に対する意識が変わり、そのあとに「今日、起きてから聴いた音」のあそびをおこなうと、多くの子が積極的に手を挙げて自分が聴いた音を発表してくれました。
 ここでの工夫としては、発表時には「なぜその音だと思ったのか」といった感想も聞いてみたことです。「踏み切りの音が聞こえた」と答えた子に「どうしてその音が聞こえたのかな?」と聞いたところ、「普段通うときに踏み切りの前は通らないんだけど、近くを通るからその音が聞こえるんだ」と、さらに音から得られる発見を話してくれました。

 そして、「音を聴いて絵を描いてみよう」のあそびは、保育園や幼稚園、小学校低学年の子どもだけでなく、指導者にとっても大変意義があるものだと思います。

 普段、子どもが絵を描くとすると、目で見たものが中心になります。たとえ、想像を働かせて描いても、テレビで見た視覚的な情報などをもとに描く子がほとんどです。現代っ子の多くは、日常経験の多くを締める視覚から入ったものだけを絵にしがちなのです。
 たとえば「サンタクロース」の絵を描こうとすると、ほとんどの子が「太っちょの白ひげのおじいさん」の絵を描きますね。しかし、想像を働かせて描くなら、別に太っちょじゃなくてもいいし、女性を描いてもいいわけです。つまり、視覚から入ってくる情報にそれだけ縛られているということでしょう。

 音をもとに絵を描いてもらうと、視覚情報だけに頼ることはできません。今回は、あえて園児には何の音かわかりづらい「京都の下鴨神社の音(付属CDのトラック13)」を聴いてもらいました。
 すると、断片的な音の情報をもとに頭を使って推理をする子、音から自由に想像を働かせて抽象的な絵を描く子など、さまざまな反応をもとに多彩な絵が生まれました。
 たとえば、神社での石畳を歩く足音から石とかなづちを想像したり、ガラガラと鳴らす鈴の音からレストランを想像したり、音からオリジナルのキャラクターなどを生み出したりしたのです。

 指導者にとっても、普段おこなっている指導に『耳の体操』のあそびをプラスすることで幅が広がりますし、普段の指導へのヒントも見つかると感じます。
 私自身、日頃から抽象性や独自性を育む保育をしたいと考えており、このような保育や指導を目指す方には、『耳の体操』は参考になる教材と言えるのではないでしょうか。

聞こえた音を推測して描いた絵から、カラフルなオリジナルキャラクターまでさまざまな絵が生まれた

大井町のぞみ保育園のみなさま、
ご協力ありがとうございました!
大井町のぞみ保育園
〒142-0043 東京都品川区二葉1-12-18
https://www.temp-wish.co.jp/nursery/ex03/

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