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マーキュリーを追いかけて Chasing Mercury

トレヴィス・J. ウェラー Travis J. Weller

  • 出版社
    Carl Fischer
  • Grade
    3
  • 演奏時間
    3:15
  • 曲想/ジャンル
    スケルツォ
  • 注文番号
    GYW00137812
  • 対象
    中学校~高校
  • 用途
    コンサート
  • 演奏可能人数
    25

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作曲者と作品について

 トレヴィス・J. ウェラーは作曲/編曲家としてのみならず、音楽教育全般について、とりわけペンシルヴェニア州において指導的立場にある音楽家のひとり。現在は同州メカニクスバーグにあるメサイア・カレッジの音楽教育部門で助教授を務めている。
中級グレードの曲には珍しい、軽やかでしゃれた曲想をもつこの作品は、ローマ神話に登場する商業と旅と盗賊の守護神であり、翼のある靴を履いて飛び回る伝令の神としても描かれるマーキュリーを題材にしたもの。
グスターヴ・ホルストの管弦楽のための組曲《惑星》が示しているように、太陽系の惑星のそれぞれは神々と結びついているが、マーキュリーは水星の象徴。組曲《惑星》の〈水星〉は、そのイメージどおり、すばしこく動き回るスケルツォ的な性格を与えられている。ウェラーもこの曲ではホルストを強く意識しており、実際《惑星》の〈水星〉からふたつのモティーフが引用されているのが興味深い。

指導のポイント

 8分の6拍子を正確に、そして重心の自然な移動を伴って演奏することは慣れないと難しい。この曲ではそのリズムに休符が挟まれたり、タイによって重心が移動したり、6/8と3/4が共存したりと、トリッキーな場面も多い。よい機会なので、このおしゃれな曲を通じて8分の6拍子に親しみ、そのリズムの面白さを学んでみてはいかがだろうか。部分的につかみにくい(歌いづらい)音程の跳躍もあり、リズムの問題と合わせてソルフェージュの教材として有効に活用できそうだ。またトゥッティの場面がほとんどなく、全体に楽器の重なりが薄めなので、それぞれの場面の中心となる響きを見極めて、クリアーで見通しのよいサウンドとアンサンブルを組立てたい。そのためには、まずひとつひとつの音にイメージをもってしっかり響かせることが肝要だ。

◆ 中心となるパート

すべてのパートが等しく重要だが、クラリネットとアルト・サクソフォーンにソ る。打楽器の音色とアンサンブルは作品の印象を決定する上できわめて大切なので、打楽器セクションの意識が高いバンドに特におすすめ。

◆ 主要な楽器の最高音、最低音

フルートの最高音主要な楽器の最高音、最低音
トランペットの最高音主要な楽器の最高音、最低音
トロンボーンの最高音主要な楽器の最高音、最低音
テューバの最低音主要な楽器の最高音、最低音

編成についてのアドバイス

 木管の編成はほぼ標準的なもので、金管はややパート数が少ない(ホルン1パート——ただし分割される場面がある——、トロンボーン2パート)。打楽器は10名の奏者が必要で、どの楽器も重要な音色効果を担っているので省略するのは難しいが、鍵盤はグロッケンシュピールのみ、バス・ドラムは省略、クラッシュ・シンバルは木のスティックで叩くサスペンデッド・シンバルで代用、という具合で工夫すれば6~7名でやりくりできるだろう。バンド全体では25名程度から演奏可能である。