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あとに残したすべてのものに To All Things Left Behind
リチャード・ソーセイド Richard Saucedo
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- 出版社
- Hal Leonard
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- Grade
- 4
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- 演奏時間
- 6:00
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- 曲想/ジャンル
- スロー&リリカル
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- 品番
- GYW00133933
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- 対象
- 高校以上
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- 用途
- コンサート
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- 演奏に必要な最少人数
- 35
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作曲者と作品について
ソーセイドはバンド・ディレクターとして31年勤務したインディアナ州のカーメル高校を2013年に退職し、フリーランスの作曲家となったが、以後、パワーとスピード感が持ち味だったその音楽の傾向が少しずつ変化しているようである。この《あとに残したすべてのものに》は、そのようなソーセイドの新しい境地が示された作品として興味深い。
ゆっくりとしたテンポで息の長いフレーズが歌い継がれる、抒情的な作品。しかしただ美しいメロディーが歌われるのではない。冒頭にフルートのソロで提示される、跳躍を多く含むメロディーそのものもなかなか凝っており、さらにホルンとトロンボーンのデュエットに支えられ、繊細な室内楽的テクスチュアに彩られたそのメロディーが、曲のほぼ中間地点に置かれた劇的なクライマックスに向けてポリフォニックに発展していくプロセスが見事だ。テューブラー・ベルが旋律楽器として重要な役割を果たす点もユニーク。最後は冒頭の音楽に回帰し、静かに終わる。
繊細さと劇的な力強さの両方が美しい音のテクスチュアの中で表現される、きわめて印象的な作品である。
指導のポイント
規則的なリズムやフレーズの組立てが意識的に避けられているようで、そのためかなり自由に聴こえるが、その一方でとりとめのない印象にもなりやすく、音楽構成について深く考えさせられることになるはず。クライマックスは細かく動くグループと長い音を保持するグループが交錯するので、お互いの動きが生きるようにアンサンブルを整理し、バランスを注意深くとる必要があるだろう。すでに述べたように、旋律は跳躍音程が多いため、響きにムラが生じないよう、丁寧に練習したい。またダイナミックスの変化には細心の注意を。
◆ 中心となるパート
フルート、ホルン、トロンボーンが重要な働きをすることが多く、鍵盤打楽器も活躍する。
◆ 主要な楽器の最高音
トランペット
ホルン困難な場合はオクターヴ下げて演奏してもよいようになっている。
編成についてのアドバイス
編成はほぼ標準的なもの。クラリネットとトランペットは1番パートが分割されている箇所がある。また、要求されている打楽器は9名だが、クラッシュ・シンバルとマリンバを省略して7名で演奏可能。できればオーボエはいたほうがよい。バンド全体で35名程度で演奏できる。