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静寂のこだま Echoes of the Silent

ロバート・バックリー Robert Buckley

  • 出版社
    Hal Leonard
  • Grade
    3
  • 演奏時間
    5:05
  • 曲想/ジャンル
    スロー&リリカル
  • 品番
    GYW00133925
  • 対象
    中学校~高校
  • 用途
    コンサート。行事。音楽表現の教材。
  • 演奏に必要な最少人数
    30

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作曲者と作品について

ロバート・バックリーはカナダの作曲家/編曲家。吹奏楽の作曲はその多岐にわたる活動の一部で、ポップ・ミュージックの作曲・編曲や、映画・TV の音楽の分野でも活躍している。
バックリーの吹奏楽作品には祖国の歴史や文化を題材としたものが多いが、この曲もそのひとつ。1917年にカナダのハリファックス港で2隻の船が衝突、爆発し、市街も甚大な被害を受けた事故の犠牲者に捧げられた作品であり、「1917年のハリファックス爆発事故を回顧して」という副題がその事情を説明している。
作品のコンセプトからも推察できるように、ゆっくりとした、深い情感をたたえた作品。グレード3ではあるが、音域は限定され、急速なパッセージもなく、技術的にはさほど難しくない。しかし音楽的な内容はきわめて深く、表現の面では中級から上級レベルの力量が求められる。何よりもまず旋律の、そしてその旋律を支える和声の美しさに、誰もが深い感銘を受けるに違いない。また、クライマックスの場面を除けば基本的に楽器の重なりは薄く、各楽器の音色が巧妙に対比されて多様な色彩の変化が図られているのも特長。反復進行を多く含む和声を生かすべく、対位法的なテクスチュアが主体であり、そのことも豊かな色彩の効果を高めている。日本のバンドは全員が揃って同じことをやる、という考え方が主体だが、このような作品でポリフォニックな音楽表現や室内楽的なアンサンブルも学んでほしい。
追悼の音楽ではあるが湿っぽさはなく、あくまでも格調高く希望を感じさせる作品。コンサートのみならず、厳粛さが求められる行事での演奏にもぜひおすすめしたい。

指導のポイント

すでに述べたように、音楽表現とアンサンブルを学ぶことのできる曲。音域の広い旋律をレガートで表現し、息の長いフレーズをつくって音楽をつなげていくことが課題となるが、そのためにはハーモニーのつながりを理解することも大切なポイントとなる。声部間のポリフォニックな絡み合いを生かすために、バランスにも留意したい。

◆ 中心となるパート

すべての楽器が等しく重要。

◆ 主要な楽器の最高音と最低音

トランペットの最高音トランペットの最高音

テューバの最低音テューバの最低音

いずれもよりやさしい音がオプションとして書かれている。

編成についてのアドバイス

編成はほぼ標準的なものだが、ホルンとトロンボーンは2パートずつ。打楽器は7名要求されてはいるものの、バス・ドラムとクラッシュ・シンバルは省略しても大きな問題はない。バンド全体で30名程度から演奏可能である。