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猫のパジャマ The Cat's Pajamas

ピエール・ラプラント Pierre La Plante

  • 出版社
    C. L. Barnhouse
  • Grade
    2.5
  • 演奏時間
    2:50
  • 曲想/ジャンル
    ラグタイム
  • 品番
    GYW00133791
  • 対象
    中学校~高校
  • 用途
    コンサート
  • 演奏に必要な最少人数
    20

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作曲者と作品について

ピエール・ラプラント(1943~ )はその名が示唆しているようにフランス系の人だが、ウィスコンシンで生まれ育ったアメリカの作曲家。高校のバンド&コーラス・ディレクターとして働き始めたのが1967年、作曲家として最初の作品が出版されたのが1976年というから、すでに半世紀ほどのキャリアがあり、75歳となった現在も意欲的に教育/創作活動を続けている。
ラプラントの音楽の大きな特徴は、その趣味のよさとすぐれたバランス感覚にあるといってよいだろう。彼の作品には力ずくで押し切るような場面がない反面、古い音楽様式や文化への深い造詣が盛り込まれており、丁寧に取り組めば取り組むほど、多くを学ぶことができる。リズムや和声に示された洒脱さも大きな魅力だ。
「猫にぴったりのラグタイム風小品 A Felicitous Feline Ragtime Novelty」の副題をもつこの《猫のパジャマ》も、ラプラントらしいセンスのよさが生かされた作品。副題が示しているように古いラグタイムのスタイルで書かれており、リラックスした雰囲気で洒落っ気のある旋律が奏でられるA部分に続き、短調に転じてややシリアスな気分で古いキャンプ・ソング《猫が戻って来たThe Cat Came Back》の旋律が現われるB部分、そしてAの再現、という構成になっている。A部分で頻繁に高音の木管に登場する3度(時に2度)下降するモティーフは、猫の鳴き声らしい。
パワフルで賑やかな曲ばかりになりがちな吹奏楽のコンサートに、なごやかでお洒落な雰囲気をもたらしてくれるに違いない1曲である。

指導のポイント

技術的には大きな問題はないものの、旋律の音域が広く、音程の跳躍が多いので、音によって響きにムラが生じないよう、注意深く練習したい。スラー、スタッカート、テヌート等、アーティキュレーションは音楽的な表情を演出する上で(特にこの曲では)重要。とりわけレガートとマルカートの区別は正確に。「あまり速くなく Not too Fast」と指示されているが、これは速いテンポで演奏するより難しい。スコット・ジョプリン等、古いラグタイムの演奏を聴く機会を設けて、曲のスタイルに合ったテンポや表現の勉強をすることをおすすめしたい。

◆ 中心となるパート

木管、特にフルート、オーボエ、クラリネットが音楽的な主導権を握る場面が多く、金管にはそれほど負担がかからない。打楽器の役割は重要で、リズムをキープする正確なアンサンブルのみならず、曲の雰囲気を演出するための音色の研究も期待したい。

◆ 主要な楽器の最高音

トランペットトランペット

編成についてのアドバイス

クラリネット、トランペット、トロンボーンが2パートずつで、他は各楽器1パート。ただしフルート、1番クラリネット、アルト・サクソフォーンは2部に分かれる場面がある。スコアに要求されている打楽器は7名だが、グロッケンシュピールとティンパニは省略しても大きな問題はない。演奏可能な編成はフルート2、クラリネット3、バス・クラリネットまたはバリトン・サクソフォーン1、アルト・サクソフォーン1、テナー・サクソフォーン1、トランペット2、ホルン1、トロンボーン2、ユーフォニアム1、テューバ1、打楽器5、計20名。オーボエがなくとも演奏可能ながら、加わると「猫」的雰囲気が濃くなり、曲の魅力が生きるので、よいオーボエ奏者がいるバンドには特におすすめだ。