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クモ恐怖症とフーガ Arachnophobia and Fugue
ジェイムズ・メレディス James Meredith
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- 出版社
- Carl Fischer
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- Grade
- 2.5
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- 演奏時間
- 5:15
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- 曲想/ジャンル
- パロディ/ユーモア
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- 品番
- GYW00133413
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- 対象
- 中学校~高校
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- 用途
- コンサート
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- 演奏に必要な最少人数
- 18
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作曲者と作品について
「 J. S. バッハへの敬意をこめて」というサブ・タイトルどおり、バッハのオルガン曲《トッカータとフーガ ニ短調》(BWV565)を中心に、コラール《目をさませと呼ぶ声が聴こえ》、オルガンのための《小フーガ ト短調》(BWV578)、コラール《羊は安らかに草を食み》と《甘き死よ来たれ》などの断片、それにグレゴリオ聖歌《怒りの日》を題材とした作品。しかし本当に「敬意をこめて」なのかというと、かなり怪しい。この作品は――作曲者メレディスが述べているように――バッハが仕事部屋に現われるクモに悩まされながら作曲をしている、という設定で書かれており、クモ役のシロフォンが曲の端々に登場しては名曲の断片に紛れ込み、時に音楽の進行を邪魔してバッハをいらだたせる。ついにバッハは丸めて筒にした新聞紙を手にしてクモを追いかけるが、その新聞紙でテーブルを叩く音も音楽の一部になって……、という、冗談音楽といってよい内容だ。強烈なインパクトを備えた《トッカータとフーガ ニ短調》の冒頭ほど、このような発想に効果的な音楽はあるまい。そのトッカータ部分がタンゴのリズムに乗って能天気に演奏されたり、のどかな気分の《羊は安らかに草を食み》を不吉な《怒りの日》が侵食したり、と、いたずら気分が横溢。最後に登場する《甘き死を来たれ》の旋律は、退治された(と思われた)クモへの哀悼か? クラシック音楽に親しい聴衆が多いコンサートでは大受け必至である。
ジェイムズ・メレディスは40年にわたってヴァージニア州の中学校のバンド・ディレクターを務めた人。この作品もテキサス州の中学校バンドのために書かれており、さすがに生徒たちが喜びそうなツボを心得ている、という印象だ。
指導のポイント
パロディ作品を演奏するからには、そのオリジナル、つまり題材となっている作品を知っておく必要があるだろう。バッハの作品に親しむよい機会である。たんに曲を鑑賞するだけでなく、コラールの内容や、作品の象徴的な意味、題材となっている作品が今日まで「名曲」として残っている理由などについて知り、考察することで得るものは少なくない。
曲想が次々に、そして突然変化するので、効果的な演奏のためにはテンポ、ダイナミックス、アーティキュレーション、スタイルの切り替えが非常に重要になる。フェルマータの切り方、間の取り方も大切で、これは指導者の音楽解釈と指揮の技術にもかかわる問題であり、綿密な研究が必要だろう。
◆ 中心となるパート
クモ役のシロフォンがまず大役。また全体にフルートとクラリネットが音楽を先導する場面が多く、木管セクションの積極的な表現が求められる。クラリネットの低音域がうまく活用されており、最低音の実音Dまで使われている。金管とサクソフォーンはまとまって動く場面が多く、それほど負担は大きくはない。
◆ 主要な楽器の最高音と最低音
トランペットの最高音
テューバの最低音
編成についてのアドバイス
クラリネットとトランペットが2パートずつで、他は各楽器1パート。ただしフルートは2部に分かれる場面がある。打楽器は6名だが、シンバルをサスペンデッドにすれば、「丸めた新聞紙」と持ち替えで演奏できる。演奏可能な編成はフルート2、クラリネット2、バス・クラリネット1、アルト・サクソフォーン1、テナー・サクソフォーン1、トランペット2、ホルン1、トロンボーン1、ユーフォニアム1、テューバ1、打楽器5、計18名。
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