トップページ > ヤマハの選んだ 吹奏楽100選 > ヤマハが選んだ 2019海外吹奏楽ベスト・レパートリー
> 8 オータム・レイン
- 8
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オータム・レイン Autumn Rain
パトリック・ロスゼル Patrick Roszell
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- 出版社
- Belwin (Alfred)
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- Grade
- 2
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- 演奏時間
- 3:15
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- 曲想/ジャンル
- スロー&リリカル
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- 品番
- GYW00132390
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- 対象
- 中学校~高校(初級)
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- 用途
- コンサート。音楽表現の教材。
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- 演奏に必要な最少人数
- 17
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作曲者と作品について
パトリック・ロスゼル(1976~ )は、アメリカではマーチング・バンドの作曲家/編曲家として高く評価されているが、コンサート・バンドのための教育的な作品も多く、それらの中には静かで抒情的な作品も含まれる。この曲も、タイトルが示唆するように穏やかでしっとりとした落ち着きのある曲。技術的にも困難な部分はない。しかし、音楽的にはなかなか凝っており、他の一般的な初級レパートリーとは一線を画した内容である。特に奏者が指を鳴らして表現する雨の音を背景に、グロッケンシュピールの断片的なパッセージとクラリネットとサクソフォーンの(これも初級の曲には珍しい)不協和音が交叉する導入部がユニーク。クラリネットによって歌い出される温かく穏和な旋律も魅力的で、その旋律が調を変えて歌い継がれ、クライマックスに達したのち冒頭の音楽が回帰して静かに終わる。聴き手の心に深い余韻を残すに違いない印象的な作品で、賑やかな曲ばかりになりがちなプログラムの中で異彩を放つことは確実だ。調性の曖昧な和音の表現や遠隔調への転調、繊細な音色づくりなど、バンドのメンバーの音楽的な視野を広げるきっかけとなる課題も盛り込まれており、取り組むことで得るものは多いに違いない。
指導のポイント
ソステヌートで演奏するためには、息をまっすぐに保つことと、音の切り口を丁寧に表現することが肝要。また、休符や長い音が多く、打楽器がリズムを刻まないこのような音楽は、ひとりひとりが正確なテンポとリズムを常に意識して演奏したい。ダイナミックスの変化の表現が各楽器で揃うことも重要である。
◆ 中心となるパート
グロッケンシュピールの役割はきわめて重要。またトランペットに4小節間の印象的なソロがある。
時期によっては、初級メンバーが雨音(指クリック)の係で参加してもよいだろう。
◆ 主要な楽器の最高音
トランペット困難な場合はオクターヴ下げて演奏してもよいようになっている。
編成についてのアドバイス
クラリネットとトランペットが2パートで、他は各楽器1パート。ただしアルト・サクソフォーンは2部に分かれている箇所がある。打楽器はグロッケンシュピール、ティンパニ、ウインド・チャイム、サスペンデッド・シンバルの4名で問題ない(ウインド・チャイムとサスペンデッド・シンバルは兼務可能)。演奏可能な編成はフルート1、クラリネット2、バス・クラリネットまたはバリトン・サクソフォーン1、アルト・サクソフォーン2、テナー・サクソフォーン1、トランペット2、ホルン1、トロンボーン1、ユーフォニアム1、テューバ1、打楽器4、計17名。ただしフルートとクラリネットは各パート2以上いたほうが、作品が要求するサウンドが作りやすいだろう。
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