大内孝夫さん

『そうだ！音楽教室に行こう』（音楽之友社）執筆にあたっては、ヤマハ音楽教室はじめ多くの音楽教室、楽器店のみなさまに多大なるご協力を頂きました。心から御礼申し上げます。特にさまざまな楽器の体験レッスンは、中学2年で音楽に目覚めながらも妹にピアノを習う以外ほとんどレッスン経験のなかった私にとって、大変貴重で興味深いものでした。このレッスン経験を通じて感じたことは、楽器の本当の楽しさを知るのは大人になってからではないか、ということ。小さい頃は日々の積み重ねの大事さを感じ取ったり、発表会やコンクールに挑戦してチャレンジ精神を養ったりと、音楽を通じた教育としての習い事でした。それに対し大人の音楽は、上達ばかりが目標ではなく、好きな時間に気の合う仲間と気ままに楽しめ、自分の趣味や楽しみとしてこれほど愉快なものはないのではないかと思います。特にグループレッスンを受けてみて、心地よい居場所が作れると感じました。そして健康にもとてもいい！著書でも触れているように「機会があれば楽器をやってみたい大人」の潜在人口は2000万人。しかし、「やってみたいけど難しそう」と敬遠しているのか、実際の生徒数は100万人にも届きません。でもその分、音楽教室には大いなる発展の余地が残されています。多くの大人に楽器を手に取って頂けるよう、音楽教室、楽器店、メーカーなど音楽に関わるみんなで力を合わせ、知恵を絞って頑張りましょう！

樹原涼子さん

【思い出の楽器店】ピアノシティ新宿

【思い出の楽器店でのエピソード】
初めてのピアノランドセミナーでbaby二人を預けてギリギリに到着、楽屋でバナナを頬ばり、緊張しつつも満員で嬉しかったこと、終わって質問攻めでピアノランドマスターコースを開くきっかけになったこと……懐かしく、涙と汗の味がします。当時の担当者とは今も交流が。
セミナーの他、小原孝さんと出会ったのもピアノシティでした。それ以来レコーディングやコンサートで共演を重ねています。多くの方との出逢いをいただいたお店です。

【思い出の楽譜】
『ピアノ奏法の基礎』ジョゼフ・レヴィーン著 中村菊子訳
出版当時から群を抜いてわかりやすく、誠実で、とても納得のいく本でした。折々に手に取っています。いろんな意味で偏っていない、私にとってニュートラルな大事な本です。

山本美芽さん

【思い出の楽器店】ヤマハミュージック 横浜店

【思い出の楽器店でのエピソード】
単行本『自分の音、聴いてる？』(春秋社）が出たとき、横浜店にご依頼いただいたのがセミナー講師デビューでした。その後もブログの書き方や教本など横浜店でのセミナーが続き、常連の先生方と毎回ランチ会でディスカッションが白熱。このときの先生方との出会いがFacebookのライティング研究会や各地での教本セミナー、単行本へと発展していきました。地下にあるリヒテルのフルコンを弾かせてもらったときは感激でした。

【思い出の楽譜】
ラプソディ・イン・ブルーの輸入版の二台ピアノ用の楽譜。大学生の頃、書籍や楽譜は大学生協でほとんど買っていたのですが、輸入版だけはいつも国立楽器まで買いに行きました。広々としたお店で雰囲気があって大好きでした。大学3年のとき、エレクトーンのソロと、大学の学園祭では二台ピアノで演奏し、徹底的に取り組んだ思い出の1冊。最近も角野隼斗さんとフランチェスコ・トリスターノさんの2台ライブの後に見直しました。

藤　拓弘さん

【思い出の楽器店】ヤマハミュージック 池袋店

【思い出の楽器店でのエピソード】
母校の東京音大や自宅から最も近い楽器店ですので、学生時代はもちろん、現在進行形でお世話になっています。豊富な品揃えとスタッフの方の心地よい接客は、私を含め、多くのピアノの先生の心のよりどころとなっています。拙著「夢をかなえたピアノ講師（音楽之友社）」は、音楽業界でも数少ない小説仕立ての実用書なのですが、その主人公が訪れた物語の鍵となる楽器店は、ヤマハ池袋店さまをイメージして書いてみました！

【思い出の楽譜】
修士演奏と論文のテーマが、ショパンの「ピアノ協奏曲第2番」だったこともあり、当時たくさんの資料を集めていました。そのとき購入した「ピアニスト・ショパン（ウイリアム・アトウッド・著、横溝亮一・訳、東京音楽社・刊）」は、論文の執筆にとても役に立ち、当時つけた付箋が今もたくさん残っています。ショパンのピアニストとしての才能について、彼が生きた時代の証言が集められていて、とても興味深い本ですね。

篠崎史紀さん

【思い出の楽器店】ミュージックプラザ（東京都）、ウィーン楽友協会内「ラング」

【思い出の楽器店でのエピソード】
楽器店はヴァイオリンの場合工房のマイスターがいる楽器店を選びます。幼少のころから私はミュージック・プラザという楽器店に通っています。いつも的確に楽器の状態をキープしていただいています。
ミュージックプラザ工房のマイスターは信頼度が高く、来日中の海外の演奏家も訪れます。社長は世界的に有名な楽器鑑定家で、「あそこの楽器なら間違いはない」と、海外の楽器店で楽器の調整してもらっても丁寧に扱ってくれます。
また、ウィーンにいた時はウィーン楽友協会の中にあるマイスター・ラングのもとで楽器の細かい調整や弓の張り替えをお願いしていました。現在、そのマイスターは引退され次の世代に譲られましたが、昔からのスピリッツは確実に受け継がれています。

【思い出の楽譜】
楽譜や書籍購入は楽譜店を利用します。特にウィーン時代、ドブリンガーにお世話になりました。
当時、学生には嬉しい中古楽譜や書籍が置いてありました。引退した演奏家や劇場から払い下げになった中古品が売られていたからです。楽譜には著名な演奏家や指揮者の書き込みがあり、それが勉強途中の私たちにとっては宝の書き込みでした。そこに勤めていたワグナーさんは在庫の全てを頭の中に記憶していて、貴重な書物が入った時はすぐに教えてくれました。また絶版で入手困難な楽譜を数多く手にすることができ、その度にレパートリーが増えていく喜びとヨーロッパの激動の歴史を学ぶ良い出逢いでした。
さらに、ヨーロッパにある図書館、博物館所蔵の書籍や楽譜は貴重なものが多く、全て観覧できたことは非常にありがたかったです。
日本はそれらの所蔵数が圧倒的に少なく、探すのも一苦労です。ワグナーさんのような職人的な人材がいればもっと探求していく楽しみが増えるのではないかと最近切に感じています。

中嶋恵美子さん

【思い出の楽器店】スター楽器池上店、カワイ横浜店

【思い出の楽器店でのエピソード】
「発達障碍ピアノレッスン情報交換会」が実現したのは、スター楽器池上店が会場提供、申込みの手続きなど、運営するピアノ指導者を全面的に支えてくださっているからこそ。この分科会開催検討のためカワイ横浜店の方が池上まで来てくださったときは、スター楽器店店長が暖かく迎えてくださいました。今では他地域にも地域の指導者が運営する情報交換会を支えてくださる楽器店がありますが、そのきっかけとなった出来事でした。

【思い出の楽譜】
楽器店へ行くと箱の中に輸入楽譜がたくさん並べられていて、セール価格になっていることがありますよね。通り過ぎることなどできようはずもなく、気づけば衝動買い。普段は欲しい楽譜がわかって買うわけですが、こういうときは知らなかった楽譜、知らなかった曲に出会うチャンス。ヘンデルのクラヴサン組曲第1集(ヘンレ版)もそんな一冊です。帰ってきて弾いてみると素敵な曲ばかり。嬉しい出会いとなりました。