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DVD / ブルーレイ 発売記念 一夜限りの上映会『 スティル・オン・ザ・ラン ~ ジェフ・ベック・ストーリー 』 DVD / ブルーレイ 発売記念 一夜限りの上映会『 スティル・オン・ザ・ラン ~ ジェフ・ベック・ストーリー 』

2018年3月5日にシネマート新宿にて行なわれた『スティル・オン・ザ・ラン~ジェフ・ベック・ストーリー』発売記念上映会のトークショーのゲストとして、ウドー音楽事務所の高橋辰雄(TACK高橋)さん、聞き手として音楽ライターの細川真平さんをお迎えし、オフステージでのジェフ・ベックの様子など、大変興味深い話を披露していただきました。『スティル・オン・ザ・ラン~ジェフ・ベック・ストーリー』のドキュメンタリー本編と併せてトークショーの内容を是非ご覧ください。
細川:
ジェフ・ベックとの最初の出会いはどんな感じだったんでしょうか?
75年のワールド・ロック・フェスでジェフ・ベックが来日した時が初めてなんですよね?
高橋:
僕がウドー音楽事務所に入社したのが1975年で、大きなイベントとしては最初のライヴがワールド・ロック・フェスティバルで、僕はジェフ・ベックは担当していなくてフェリックス・パパラルディ・ウィズ・ジョー(山中)を担当していたんですけど。
細川:
ジェフは、その時体調崩してましたよね?
高橋:
そうですね。風邪で顔を真っ赤にして。もう出来ないんじゃないかと思ってましたけど。
細川:
最初会ったときの印象はどうでしたか?
高橋:
最初は紹介されただけだったんですけれども。割と体調が悪くて対応も社交辞令程度だったので印象的にはクールな人だと思いましたね。75年の出会いはそれで終わりでしたね。
細川:
なるほど。その後78年にスタンリー・クラークとかサイモン・フィリップスと共に来日していますけれども。
高橋:
ええ、僕は個人的にはサイモン・フィリップスと仲良くなって。あの時はいろいろツアーで回ったんです。金沢公演の時にはホテルがたまたま無くて旅館に泊まったんですけど。
細川:
へぇ、旅館に泊まったんですか(笑)。
高橋:
ええ。その時に旅館の和食の朝食をみんなで食べて。箸の使い方を教えたりとか。生卵とか海苔とか見て、何だこりゃ、みたいな(笑)。朝食をみんなで集まって食べて。いい思い出になってます(笑)。
細川:
ははは(笑)。その後86年の軽井沢という、これもかなり大きいフェスでしたね。サンタナも来て、ルカサーも来て。
高橋:
ええ。あの時日本で、そういったリゾート地でインスト3人がイベントをしたという初めての試みだったんですよね。その時にスティーヴ・ルカサーが初めてジェフ・ベックに会って。憧れの人ということで。
細川:
大好きですもんね、ルカサーはジェフのことが。
高橋:
そう。感激して、興奮していましたけども。それで終わってからみんなで飲んでいたら、スティーヴが嬉しくて酔っ払ってしまいまして。仕方ないので僕とサイモンが2人で肩を担いで部屋まで連れて行ったということもありましたけどね(笑)。
細川:
(笑)。その時ジェフはどうしてたんですか?
高橋:
飲んでいましたよ、一緒に。最初はジェフも手を貸していたんですけどね。で、部屋に行った後、ジェフとサイモンとツアーマネージャーとで、まだ眠れないよねと言って散歩をしていたら、たまたまゴルフカートがあって。じゃあちょっとゴルフカート乗ろうかということになって。ところがバッテリーが無くて、ゴルフカートが置いてあるところに入ったらバッテリーが置いてあったので、カートにつけてスイッチ入れて4人でホテルのゴルフ場のフェアウェイで競争していました(笑)。
細川:
それ簡単に言ってますけど、違法ですよね(笑)。
高橋:
違法です(笑)。夜中で酔っちゃった勢いもあったんですけど。まあ僕は管理しなくちゃいけない立場だったんですけど、まあそういうのも必要だろうと。
細川:
なるほどね(笑)。
高橋:
それで翌日支配人の方から、誰か昨日カート乗ったみたいなんですけど知りませんか、と言われて。いやぁ分かんないですねぇと言って。で、よく見たらフェアウェイじゅう全部にカートの跡が付いていて、酷かったですね。そんな思い出があります。
細川:
すごいですね(笑)。誰が速かったんですか?
高橋:
そうですね、ジェフ結構速かったですね。
細川:
やっぱり流石ですね(笑)。車といえばジェフですもんね(笑)。
高橋:
やっぱり運転が好きなんですよね。僕がちょっと怖いなと思っていてもバッと行っちゃう。まあ怪我したら大変だったんですけど。
細川:
怪我しなくて良かったですね。
高橋:
そんなこともありましたね、軽井沢の思い出としては。演奏自体もサンタナも入ったりして色々面白かったですね。テレビの収録もあったんですけど。
細川:
TBSですよね?
高橋:
ええ。あの映像が一部今日の映画の中にも入っていると思いますけど。「哀しみの恋人達」がね。ヤン・ハマーもキーボードを前の方に出てガンガンにやってましたからね。楽しいライヴでしたね。皆さんの中に行った人も沢山いらっしゃると思うんですけれども。
細川:
スキー場のゲレンデが客席になっていてね。
高橋:
上から下に見られるようになっていましてね。あれはあれで面白かったですよね。
細川:
それでは89年のツアーについても。これもスティーヴ・ルカサー、それからバッド・イングリッシュでニ窶買求Eショーンが来たりして。有明でやって大阪でやって横浜でというツアーでしたね。大阪と横浜はチャック・ベリーも入ったということで、なかなかこれも伝説的ですけれども。
高橋:
ジェフ・ベックが絡む話だと、横浜でやったときにですね、たまたまその時はリチャード・マークスのグループとかもあったんですけど。ジェフ・ベックの時に、ちょうどソロを弾くときリチャード・マークスのハーモニカプレーヤーが共演をしようということで出て来たんですけど、たまたまその時に曲のキーが変えてあって違うキーから始まって合わなくて、マネージャーがカンカンになって怒ってすぐステージから降ろしたというという話がありましたね。その人は次の日帰されていましたけどね(笑)。
細川:
そうですか(笑)。大阪公演でも、チャック・ベリーがわりと我がままだったという話ですが…。
高橋:
そうですね。本来はチャック・ベリーとジェフ・ベックの共演というのもあったんですけど。ギタリストをチャック・ベリーがステージに呼んだ時に、スティーヴ・ルカサーが出ていったら「いや、お前とは違う」と言って。ニール・ショーンが出ていったら「お前でもない」と言って。それを見てジェフ・ベックが帰っちゃったという。
細川:
それを見たジェフ・ベックは嫌になって帰っちゃったということらしいですね。
高橋:
チャック・ベリーとしては、ジェフ・ベックが最初に出て来て共演したかったらしいんですけど。そんなのがあって、結局バックバンドがいなくなったんですよね。で、最終的にジェフ・ベックのドラムのテック(調整役)がドラム叩いて。
細川:
バックバンドがいなくなったというのは、ジェフのマネジメントが怒って皆を引き上げさせちゃったということなんですね。
高橋:
ええ。その時はチャックとドラムだけで大阪公演は終わらして。で、横浜の日にはあるライヴハウスの人達を駆り出して、そのときは盛り上がってもらったという。
細川:
ウドーさんも大変ですね、色々そういうケアまでしないといけない(笑)。バンド連れて来てくれれば楽なんでしょうけども。
高橋:
そうですね、ええ。本当はテリー・ボジオとかいたので一緒にやる予定だったんですけど、我がままがあったりなんかして。お客さんは喜んでましたけどね。
細川:
(笑)。で、ジェフ・ベックってステージでの凄い姿はみんな知っているじゃないですか。それで一番聞きたいのは、オフステージのことで。高橋さんくらいしか知らないことっていっぱいあると思うんですけど、普段はどんな感じの方なんですか?
高橋:
彼はベジタリアンなんですよね。ベジタリアンが食べられるレストランって限られているんですけど、よく行ったのはインディアンレストランですね。本人は楽屋で何を食べてたかって言うと、ケータリングの代わりに自分でビーンズの缶詰を出してフライパンで炒めてパンにはさんで食べたりとか。あと彼は飲むのは好きなのでよくコンサート終わってホテルのバーで飲むんですけど、その時にジェフとマネージャーとメンバー何人かでジェスチャーゲームをやるんですよ。お題を出して。
細川:
ジェスチャーを。お題を出して(笑)。
高橋:
ジェスチャーやる人がお題を見てみんなの前でやって何だったのか当てる。それを延々とやってましたね。
細川:
ははは(笑)。
高橋:
毎回2時間くらい。終わると毎回。
細川:
ははは(笑)。因みに高橋さんが覚えている中で、ジェフがやってこれは面白かったとか分からなかったというジェスチャーって何かありますか?
高橋:
映画のタイトルですかね。具体的なタイトルは忘れちゃったんですけど、そこに行き着くまで結構みんなで言い合いしたっていう。
細川:
なるほどね(笑)。
高橋:
後は、ライヴ終わってからジェフの部屋でルームサービスを頼んでその日あった事とか結構話したりとか。そこでメンバーとのリレーションがありますよね。終わってから一人でどうのこうのというのではなくて。みんなみたいに奢って飲みに行ったりとか、踊りに行ったりとかそういうのはあまりしないで。
細川:
メンバーとの反省会的な感じだったんでしょうか?
高橋:
あまり反省会とかそういうのではなく、世間話が多いですよね。面白かったのが、女性ギタリストのジェニファー・バトゥンが結構面白いビデオを持ってて、そのビデオを笑いながら観たりとか。
細川:
和気あいあいとした感じなんですね。
高橋:
結構ジェニファーは冗談でオナラの音を出したりとかするので、そういうのを楽しんだりとかしてて(笑)。割合メンバーと仲が良かったですね。
細川:
その割にメンバー代わりますけどね(笑)。
高橋:
あれは音楽性のせいだからね(笑)。音楽性の追求があるのでね。後は、ファンの方がおもちゃのクラシックモデルの車を送ってくれたんですよ、エンジン付きのやつを。多分市販で3、4万くらいのやつだと思うんですけど、それを何日かで組み立てて、色も塗って、完成したやつをホテルの駐車場で遊んでましたね。結構速いんですよ。
細川:
へえ~。やっぱり車なんですね(笑)。
高橋:
そう。これは90年代くらいの話だったかな。本当に綺麗に作ってましたね。4日間くらいで。コンサートが終わった後に部屋でちょこちょこ作ったり。やっぱり車好きなんだなって。
細川:
へえ~。あとジェフ・ベックと言えばギターを手離さないという噂もあって、Charさんが自宅でセッションした時にトイレに行くときジェフ・ベックはギターを持って行ったってCharさんが驚いていましたけれども。
高橋:
確かに部屋では必ず弾いてますよね。いつも小さいリヴァーブが付いてるアンプを必ず持ってて。日本で借りたりとか、向こうから持って来るときもあったんですけど。その頃は日本で借りて部屋に持っていって、それをツアーでも持ち歩いて。指の運動というか。必ずギターは離さないでいつも持ち歩いてましたね。
細川:
それって高橋さんは、ジェフ・ベックがぺろぺろぺろって半分遊びとか練習で弾いているフレーズもよく聴いていたということなんですね。
高橋:
確かにいっぱい聴いてますけど、僕ギターが弾けないのでどういうの弾いてるか分かんないですけども、運指はいっぱい練習してますよね。
細川:
曲を弾いたりは?
高橋:
弾いてたかもしれないですね。ただあんまりその日やる曲っていうのではないかもしれないですね。割とロカビリーっぽいやつとか。そういう意味ではとにかくギターはいっぱい弾いていましたね。
細川:
あ~、やっぱりそうなんですね。『ジェフ・ベック・ストーリー』の限定盤はテレギブの、テレギブって説明しなくても皆さん分かると思うんですけど、テレギブのミニチュアが付きますけれども、高橋さん本物のテレギブを見たことあるんですか?さすがにこれって日本には持ってこないという感じなんですけど。
高橋:
そうですね、テレキャスターの全く同じ色のやつは見てるんですけども、多分持って来てないと思います。
細川:
ああ。さすがの高橋さんもテレギブの本物は見ていないという感じなんですね。
高橋:
そうですね、でも僕はギターそんなに詳しくないんで、もしかしたら持って来てたかもしれないし、無かったかもしれないし。
細川:
因みにこのフィギュアは本当に良く出来ていて、製作期間はなんと8ヵ月らしいですね。それでは、続いて。ジェフと高橋さんは今まで色んな会話をされて来たと思うんですけど、思い出に残っている会話とか、こんな事をジェフに個人的に言われたという思い出は何かありますか?
高橋:
沢山あると思うんですけど、いつも僕たちが一番うれしいのは帰るときに、「どうもありがとう。日本に来ている時が一番安心出来る。日本で一番素晴らしいショーが出来た」とか、「良かったよ」と言われるのが一番嬉しいですよね。他にも違った部分での言葉はあったと思うんですけど、一番響いているというか。帰り際に言われる言葉っていうのが一番いいですよね。
細川:
そうですよね。また次来た時にも頑張ろう、って思いますよね。
高橋:
そうですね。いろんな部分で、ベストパフォーマンスが出来る環境を作るというのがプロモーターの責任だと思いますので。
細川:
今年7月くらいからジェフ・ベックはポール・ロジャースとアン・ウィルソンとのツアーがありますが、勿論ウドーさんはこのセットで呼んで頂けるんですよね(笑)?
高橋:
そうなるといいですねぇ。
細川:
今日来ている皆さんは、絶対呼んでくれ、ウドーさん!って思っているはずです(笑)。
高橋:
それはみんなの情熱で(笑)。ただジェフさん、飽きっぽいところがあるから(笑)。でも僕も個人的には観たいですからね、ポール・ロジャースとジェフ・ベックが一緒にやるの。
細川:
観たいですよね。是非お願いします。今日はありがとうございました。
高橋:
ありがとうございました。

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