■ 日本への想い
 デビューから50年、そして初来日から40年、本作品はエリックの日本公演のライヴが収録されていることはもちろんであるが、全編に渡り日本への想いが溢れている。

 地元のロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールと東京・日本武道館がホーム・グラウンドであるという程、ふたつの会場でのライヴがお気に入りで、それはただ単に会場が好きとか、やり易いとかいうことだけではない。
 来日もツアーだけで20回も重ね(プライヴェートでも来日)、日本という国の文化、街並、日本人との相性や思いやり、そして食事等、ありとあらゆる環境が、映像から溢れ出ている。

 そのエリックの日本好きに多大な影響を与えたのはもちろん、全公演を招聘してきたウドー音楽事務所のスタッフの力である。映像では会長の有働誠次郎氏のインタビューもフィーチャーされ、素顔のクラプトンを知ることが出来る。
 また初回限定盤のBoxセットのオリジナル・データブックでは、ツアー・マネージャーやディレクターとしてバックアップしてきた高橋辰雄氏に取材し、今まで語られなかったクラプトンの裏話についてお話を聞いてみた。
アルコール中毒に侵されていた時代の話、「レイラ」ことパティ・ボイドとのこと、日本での食事のこと、オフの時間の過ごし方等、これまで語られなかったエリックの日本での素顔を垣間見ることが出来る。
 それではその高橋氏のインタビューを、一部だがピックアップしてみた。
■ エリックのプライヴェートを最も知る男”ウドー音楽事務所 / 高橋辰雄氏インタビュー (* 本インタビューは初回限定盤のBoxセットに含まれるオリジナル・データブックからの抜粋です。)
S:70年代はお酒は凄く飲んでいましたよね、アルコール中毒で。
T:そう。始まる20 ~ 30分前に会場に入って、コーヒー飲んでタバコ吸って、それで「レイラ」から始まったんですよ、二度目の来日のときとかね。
S:カッコイイですね(笑)。
T:その頃、パティ・ボイドが来た時はステージのモニターの横で、合図出すんだよね、1、2、3って(笑)。それでエリックがどれだけ酔っ払ってるかって分かるんだよね(笑)。いつもセブン・アップとグラスを持って歩いていて、ブランディー、一日一本半くらい飲んでたかな。まだあの時エリック20代でしょ、いい時だよね。70年代は特に好きですね。「プレゼンス・オブ・ザ・ロード」とか「キャント・ファインド・マイ・ウェイ・ホーム」とか、個人的には一番好きで思い出ですね。2年毎に見れた日本のファンは幸せですよね。

S:今はお酒は、食事前にワイン一杯程度も飲まないんですか。
T:ええ、全く。それでやめた後に来日したときは、禁酒して何年とかのセレモニーをしたり、禁煙したセレモニーも、東京とか大阪で何回かやったんですよ。クルーを全部集めて記念の食事会ですね。禁酒何10周年とかで、みんな集めて感謝とか。
S:そんなことまでやってるんですか。やめたのは何年頃ですか。
T:お酒は80年前後までかな飲んでたのは、85年位にタバコを完全に止めた。演奏自体も酒タバコを止める前と後では全然違うし、でも僕なんかはお酒飲んでた頃の演奏の方が好きなんだけど(笑)、何かいい感じで。
S:食事はどんなものが好きですか。
T:何でも食べますね、天ぷら、しゃぶしゃぶ、かにしゃぶも、昔はフグとか食べなかったけど、今は食べますね、刺身も、昼はイタリアンが多いかな。買い物で何にも食べるところがなくてふらっと、とんかつ屋に入ったこともあるし。肉が好きですね、日本に着いた日にまずいつものお気に入りのステーキ・ハウスに行きますね。

S:それでお酒をやめた後は、オフはどうしてたんですか。
T:買い物して、一時期アルマーニ(スーツ)ばっかり着てたでしょ。あれ日本全国行く土地でアルマーニの店に行って買っていたんですよ。サイズ的に日本で売ってるアルマーニに方が合うみたいなんで、彼に合うサイズの種類が多いみたい。あんまり観光はしないね、何回か釣りに行ったことはあるけど、名古屋の方で。

S:2000年だったと思うんですけど、サンタナの武道館公演に突然飛び入りしたことありましたよね。
T:あーそんなことあったね。あれは総合格闘技のプライドをプライヴェートで見に来て、着いた日がサンタナの武道館で、サンタナに付いていたんだけど、彼に話したら、是非ギターを弾いてくれと言って、エリックが東京に着いて2時間ぐらい寝て6時頃に武道館に入ってちょっと打合せして、1~2曲だと思ったら5曲かな、随分弾いていてビックリしちゃったんだけど。サンタナが「(スティヴィー・)レイ・ヴォーンのモデル用意しておくからと言ってと、「必ず来るから」って(笑)。誰も知らなかったからね。
本内容は、「プレーンズ・トレインズ・アンド・エリック~ジャパン・ツアー2014」DVD-Box、及びBlu-ray-Boxの特典となる“オリジナル・データブック”に掲載されている「40年の来日を支えた、エリックのプライヴェートを最も知る男 - ツアー・マネージャー、高橋辰雄氏 - にインタビュー」からの一部抜粋です。 全文は、“オリジナル・データブック”にてお楽しみ下さい。